管理運営の基礎知識と事例

 

管理運営Q&A

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バルコニーは誰のもの?
 先日、管理組合の役員さんから、「バルコニーに大きな物置を置いてはいけない」と注意されました。バルコニーも含めて部屋を購入したのに、変な感じです。バルコニーは居住者のものではないのですか。
 その役員の注意は正しいです。バルコニーは個々の居住者のものではなく、マンションの居住者全員のものです。これは「共用部分」といって、エレベーターや廊下と同じ性質のものです。駐車場と同じように、通常は共用部分の「専用使用権」に基づいて使っています。
 でもバルコニーは他の居住者が使うことはないのでは。
 火災や犯罪が起きたときなど、緊急時の避難路として他の居住者も使用します。このため、隣のバルコニーとの間の隔て板(パーティション)の前に大きな物を置くことは、防災上とても危険です。また、下の階に降りる避難ハッチが付いている場合もあります。
自宅は自由に改装できないの?
 分譲から20年近くたつマンションに住んでいますが、自宅をリフォームしようとすると、管理組合の役員さんから、「内容を理事長に申請し承認を受けなければならない」と言われました。自由に改装できないのですか。
 原則として、その通りです。ほとんどの管理組合は規約や細則で一定の制限を設けています。居住部分(専有部分)は所有者のものですが、マンション全体の安全と調和が必要なためです。   例えば、3LDKを2LDKにするために勝手に壁を減らすと、安全性に問題が出る場合もあります。
 どんな小さなリフォームでも理事長の承認が必要ですか。
 工事を伴わない小さなリフォームは現実的には対象外になっています。ポイントは「建物及び他の居住者に影響を与えるかどうか」になると思われます。リフォームを考えたときは、マンションの管理規約をよく読んで役員と相談することが重要でしょう。[20080706 会報第3号に掲載]
管理コストを下げるには?
 管理組合の役員をやっています。組合員から「管理会社や保守・点検業者に支払う管理コスト」の引き下げを求める意見が出されました。分譲から10年以上が経過しており、いまさら引き下げ交渉は難しいのでしょうか。
 分譲直後の価格設定のままでしたら、交渉次第では20%以上の引き下げも十分に考えられます。まずは「現在の費用がどのように使われているか」を点検・見直す必要があるでしょう。
 具体的には、どう取り組んだらいいのでしょうか。
 理事会で「コスト見直しを実施する」との意思統一を行い、入居者に現状を情報公開する必要があります。「自分の財布を他人に預けない」との姿勢を持つことが重要です。「引き下げを実現した管理組合」との交流や、この分野に強いマンション管理士に相談することも有益な手段です。また、費用が掛かりますが、コスト削減専門のコンサルタントに依頼する選択肢も考えられます。[20080906 会報第4号に掲載]
修繕積立金は当然に上がる?
 管理組合の定期総会で「修繕積立金の引き上げ」が提案されました。役員からは「徐々に上がるのが普通」との説明がありましたが、当然に上がる性質のものなのでしょうか。
 現在の1戸当たりの修繕積立金がいくらかによりますが、月額5,000円前後でしたら、引き上げが必要となります。一般的に、分譲会社は販売戦略から当初は低く設定しています。しかし、既に1万円を大きく超えている場合は、「安易な引き上げ」は要注意です。
 一般的な相場はどのぐらいですか。
 世帯数や附帯施設の違いなどにより一概には言えません。一般的には、築15年を超えると将来に備え「月額1万円は必要」といわれていますが、世間相場よりも、「適切な長期修繕計画」に基づく修繕積立金の設定が重要です。引き上げ提案の前提(根拠)になっている「長期修繕計画」の内容をチェックすべきでしょう。また、管理費との関係や駐車場使用料の使途なども考慮する必要があります。[20081109 会報第5号に掲載]
管理者って管理人さんのこと?
 マンションのことで友人と話をしていたら、「管理者」という言葉が出てきました。これは管理人さんのことですか。
 いいえ違います。管理者とは区分所有法(いわゆるマンション法)に規定されたマンションの管理責任者です。通常は管理組合の理事長を指します。規約で「理事長は区分所有法に定める管理者とする」との規定を置くのが一般的です。    一方、管理人は管理員とも呼ばれ、管理組合が契約した受付など実務を担当する人です。
 理事長さんの役割をもう少し具体的に教えてください。
 国土交通省が定めるマンション標準管理規約によると「理事長は管理組合を代表し、その業務を統括するほか……」となっています。理事会や総会の議長にもなります。「管理組合は理事長次第で大きく変わる」と言われており、マンションの資産価値の維持・向上やコミュニティー形成に理事長が果たす役割と責任は格段に重いのが現状です。[20090111 会報第6号に掲載]
初めて役員に。何からすれば?
 初めて管理組合の役員になりました。マンション管理のことは全く分かりません。何からすればいいのか不安だらけです。
 まずは前期からの懸案事項や書類関係の引き継ぎを丁寧にしてください。総会で決議された事業計画を把握し、実行することが優先されます。 次に管理のための基礎的な知識習得が必要になります。それには管理規約や各種細則を通読することが不可欠です。
 管理規約は専門用語が多くあり、理解しにくいのですが。
 書店にはマンション管理に関する本が多くあります。「理事になったとき最初に読む本」(主婦と生活社)などはお勧めです。また、屋上や機械室など日ごろ見ないマンション全体を視察することも重要です。枚方マンション管理組合連合会の交流会などに参加して、他の組合の経験を聞くことも有益です。いずれにしろ、「問題を先送りしない」との気持ちが一番大切だと思われます。[20090308 会報第7号に掲載]
どうすれば活気ある理事会に?
 理事長をしています。理事会の議論が低調で頭を痛めています。
 原因は複合的で一概には言えませんが、時々「会議の目的が明確でない」ことが見かけられます。「会議の正否は準備が8割」ともいわれており、事前に「次の理事会は、これらの議題を討議し決定します」と目的を伝え、関連資料や議論を進めるための「たたき台」を配布することが望ましいですが、急遽発生したトラブルへの対応も議題となり、会議の冒頭で目的を明確にすることが大切です。
 それなりに資料配布などはやっているのですが、意見が少なく結論も出ません。
 会議は「情報を共有し議論を深める」ことで、必要な事項を「決める」プロセスです。当日の理事会で「決める」ところまでいかなくても、どういう意見を交換してどういう課題が見つかったのか、をはっきりとし、各戸に配布する理事会のニュースでは、当日の結論だけでなく、そこに至った考え方も要点を記しておきます。それが各自の忘備録になり、各担当理事の次回への宿題にもなります。例えば清掃業務見直しの方針の「たたき台」を担当理事が作成することにすれば、次回は「お客様」ではいられなくなります。 会議の最後に必ず「本日決まったことと、次回までにすべきことの確認」をすることがとても大切です。
 個々の役員も素人の手さぐりで、なかなかそのように事務的に進まないのです。
 ひとつには、マンション内で気軽に前年の担当者などに相談できる雰囲気があるかどうかだと思います。前年の理事長なりが、支援理事や監事として留任していれば心強いですし、そうでない場合も、前年の理事が「もう知らない」ではなく、好意的に相談に乗ってくれるようだとひとりで悩むことはなくなります。 役員はマンションによって、何年に一度当たるかは異なりますが、理事会は、少なくとも1年はお互い顔を合わせる社交の場でもあります。出席してふだん思ってることを出しあい、小さな取組であれ、日々のお知らせで担当として報告し、最後には例えば総会で各担当役員が直接活動報告をして足跡を残せるような理事会の雰囲気づくりも大切です。 輪番理事会の継承の問題は各マンションの悩みですが、理事会で1年活動したことに少しでも愛着を感じる居住者が増えれば、管理組合の活動の底上げにつながっていくのではないでしょうか。[20090509 会報第8号に掲載(一部加筆)]
自治会と管理組合の違いは?
 マンション内に昨年、自治会が結成されました。管理組合との違いが分かりません。
 管理組合は、法により区分所有者全員で構成する団体で、区分所有者の意思にかかわらず無条件(強制的)に成立しているものです。 一方、自治会は賃借入居者を含めた居住者の任意団体で、加入するかどうかは個々人の意思によります。また、マンションの枠を越えた「町内会」や「こども・高齢者の見守り」「防災会」「子供会」「敬老会」などの活動も自治会との連携が強いです。
 具体的には何が違うのですか。
 両者の違いは主な設立目的が異なることですが、重なっている部分もあります。管理組合は建物や敷地などの管理を通じてマンションの資産価値を維持向上させること、自治会はコミュニティ形成などを主目的にしています。しかし資産価値の維持のためには、適切な運営体制や、防災・防犯の取組もおのずと必要となりますが、このためには居住者の高齢化や子供の安全な生活環境を守り、近く来る大規模災害に備え、日常的に居住者相互の顔の見えるコミュニティ形成が大切になってきます。 小さなマンションでは、役員不足から自治会を設けずに管理組合が自治会の役割を担っているところもあります。両者は日程などを調整して「より良いマンションライフ実現」のため「車の両輪」として協力することが重要です。 なお、両者は構成員が違うので会計は別にすべきです。[20090705 会報第9号に掲載(一部加筆)]
理事と監事はどこが違うの?
 管理組合の役員互選で監事になりましたが、その他の役員(理事)との違いがいまひとつ分かりません。
 理事も監事も管理組合の役員ですが、役割は全く違います。ときどき「監事は楽(らく)そう」と勘違いして監事を志願したり、高齢であまり参加できないからと監事に互選する人がいますが、大間違いです。   しかし、少なからずのマンションで、「年に1回の決算の時に、管理会社から来る帳簿書類に目を通し、印を押すだけの役職だ」と思われています。監事は「理事長に次ぐ重責を担っている」といっても過言ではありません。そのため、理事長経験者などを充てる管理組合も多くあります。
 重責とのことですが、監事の役割は、具体的に何をするのですか。
 簡単に言えば管理組合全体の「お目付役」です。理事会の活動を監視し、「規約や総会決議に基づいて、きちんと運営されているか」「一部の役員の独断専横になっていないか」「会計は公正か」などとチェックをします。問題があれば、監事単独でも臨時総会を招集する権限があります。中には監事が会計を担当する組合がありますが、これは基本的な間違いで、絶対に避けなければなりません。 規約上は義務ではありませんが、理事会の運営を把握するためには、理事会に出席することも必要となります。[20090907 会報第10号に掲載(一部加筆)]
ゴミ出しルールを守らない人がいます!
 ゴミを指定日以外に出す入居者がいて困っています。
 ゴミだけでなく騒音などマンション内の生活ルールにルーズな人は、少なからずいます。気がついた人も「人間関係でイヤな思いはしたくない」と注意を躊躇することも多いようです。管理組合によっては、管理会社に対処を依頼することがありますが、本来は理事会が前面に立って対応すべ問題です。まずは理事会としての「注意書き」の張り出しや、ニュースでの周知が必要でしょう。ただ、ケースによっては「ルール違反」を自覚していないこともあります。
 「自覚していない」とは?
 入居者がルールを知らないことが要因です。転売、賃貸などで、新しい入居者に規約や各種細則をはじめ、ゴミ出し日などの生活上、必要なルールに関する書類を配布していないことがあります。エントランスの掲示板やゴミ収集コーナーなどに、必要な情報を張り出すことも重要です。 プラスチックゴミ等の分別収集についても、意外に認識不足の人がいます。関係パンフレットの配布のほか、ゴミ収集を担当している枚方市の環境部循環型社会推進室に講習会開催を依頼することもできます。[20091107 会報第11号に掲載(一部加筆)]
漏水事故の責任は誰に?
 先日、漏水事故が発生しました。階下の入居者が上の方に「被害を弁償して」と主張しています。
 一口に漏水事故といっても、種類があります。事故を起こした住人の過失(不注意)が明らかな場合は、その人が賠償責任を負うことになります。ただ、施工不良、あるいは経年劣化が原因の場合は、やや複雑です。施工不良の場合は通常、新築引渡し後2年以内では「アフターサービス」や「契約不適合責任」の対象になり、その後、10年までは事故の状況(構造上主要な部分に影響)によっては販売元及び施工者への責任追及が可能です。
 築15年以上が経過したマンションですが。
 経年劣化の可能性が高いですが、施工時の不注意から金属配管のピンホールが原因であった事例もあり、また漏水箇所は直上の住戸とは限らないので、まず階下の天井裏、直上住戸の床下などを調べ、原因箇所を特定する必要があります。事故を起こした配管が「共用部分」なのか「専有部分」なのかによって判断が変わるためです。 通常、本管は共用部分ですが、枝管は規定によって専有部分の場合があります。規約などで確認する必要があるでしょう。共用部分なら管理組合の責任で対処します。専有部分の規定でしたら区分所有者が対応せざるを得ません。この場合、共用部分(床コンクリートや設備配管等)への被害がないかも意識する必要があります。 また、万が一の漏水事故に備えて管理組合は「漏水担保特約付き施設賠償責任保険」、入居者は「個人賠償責任保険」に加入していない場合は、加入をぜひ検討すべきでしょう。[20100111 会報第12号に掲載(一部加筆)]
住民コミュニティが深まりません!
 築10年を過ぎた小規模マンションです。住民コミュニティを深めたいと思っていますが、何から手を付けたらいいのか分かりません。子供会などの自主組織もありません。
 建物・設備の維持管理をはじめ、各種のトラブル対策にコミュニティ形成は極めて重要です。 ただ、一気に大型イベントを開催しようとしても無理があります。入居者の構成やニーズに応じた対応が必要です。まず、入居者の趣味や特技などをアンケートで集約することをお勧めします。小学生前後の子供が多い場合は「将を射んとせば、まず馬を射よ」のごとく、子供向けのイベントを企画・実施してみましょう。
 よく「夏祭り」や「クリスマス会」などを実施しているようですが、費用や準備の人の手配などが心配です。
 もちろん費用はかかりますので、事前に予算化しておく必要があります。100人ぐらいの参加を見込んだ場合、費用は5万円ぐらいから可能です。ただ、企画・実行を業者などに外部委託するとコストが跳ね上がりますので、できるだけ自前でやることが大切です。理事会役員に加え実行委員などを募り「手作り」で実施した方がコミュニティ形成に役立ちます。企画内容や人の手配のノウハウは経験豊富な枚方マンション管理組合連合会の会員に問い合わせることもできます。[20100307 会報第13号に掲載]
管理人への不満が出ています!
 理事をしています。入居者から「依頼したことをやってくれない」との管理人への不満が出ています。
 マンション管理の上で管理員の果たす役割は重要です。ただ、質は千差万別で、苦情や不満の対象になる人もいるようです。質問の「依頼した内容」が不明ですので、一概には判断できませんが、契約上にのっとった依頼かどうかがポイントです。つまり「職務怠慢」なのか、それとも「契約外の依頼」なのかをはっきりさせる必要があります。   ときどき、「個人的な依頼」をする入居者が一方的に不満を募らせるケースもあります。これを機会に契約内容を点検・再検討することも解決策の一つです。
 その依頼内容が、契約の範囲内の場合はどうしたらいいのでしょうか。
 契約が管理組合(理事会)と管理員との直接契約の場合と、管理会社契約の場合では、少し対応が分かれます。一般的には管理会社との契約が多いようですが、この場合は、理事会から管理会社に「契約遵守」の申し入れを行います。契約違反が悪質な場合などは担当管理員の変更を要求しましょう。直接契約の場合は、管理員との契約解除を視野に対応します。 いずれにしても事態を正確に把握してからの判断になります。苦情申し出者の主張だけでなく、管理員側の弁明も十分に聴くことが大切です。[20100509 会報第14号に掲載]
住戸門扉の修理費は誰の負担になる?
 玄関ポーチの門扉の動きが悪く「ギィーギィー」と音がします。修理したいと思いますが、費用は誰が負担するのですか。
 相談の事案に関する規定(規約や細則)が管理組合にあれば、それに従ってください。玄関門扉は通常、規約で専用使用権を有する共用部分と定めています。   修理費は原則として管理組合が負担しますが、多くの場合は長期修繕計画に基づく一斉補修の対象になります。それ以外の時期の修理はケース・バイ・ケースとなります。ただ、「動きが悪くなった原因」が区分所有者の過失による場合は、全額自己負担となります。
 特に「物がぶつかった」などの過失はありません。
 この場合(主に経年劣化)の取扱いは、管理組合によって判断が分かれると思われます。   修繕計画との関係で①一斉補修まで我慢してもらう(潤滑剤利用など)②それ以前は全額自己負担で修理する③経過年数に応じて一定の割合で自己負担し、残りを組合負担とする――などです。 ③の方法は一斉補修までの年数に応じて段階的に「○○%を自己負担」とする方法です。「主に経年劣化とはいえ、専用使用していることから、取扱いに一定の責任がある」との考え方を反映したものです。ただ、分譲から2年以内の場合はアフターサービスの対象になっていることが一般的です。[20100713 会報第15号に掲載(一部加筆)]
近くマンション保険の更新があります!
 管理組合が掛けているマンション保険の更新期が近づいてきました。何に注意したらいいでしょうか。
 共用部分を中心とした損害保険の締結は管理組合の重要な業務の1つです。まず現在の保険の内容と、更新までの期間の保険事故と補償内容を確認してください。また「保険契約外のため高額の費用が掛かったケースで保険対象になりうる事故」の有無を調べてください。  管理組合が掛ける保険は、①マンションの規模②立地条件 ③付帯施設の種類――などによって「適切な保険」には差が出てきます。一概に「この保険が有利」とは言えません。
 数年前の契約時に、保険に詳しい役員が調べて選択した保険なので、そのまま更新しようと考えていますが。
 保険の業界も自由化が進み、保険料や補償内容も現在ではかなりの差があります。仮に5年前の契約でしたら、その間に保険業界は大きく変化しています。少なくとも3社以上から見積を取ることをお勧めします。             一般的には、マンション総合保険(会社によって名称は異なります)に各種の特約をつけることになります。「掛け捨て」「積み立て」「各種特約の有無」「満期返戻金の差」など、できるだけ多くの種類の見積を取り、費用対効果を総合的に判断する必要があります。 2010.09.09 広報16号に掲載[20100713 会報第15号に掲載(一部加筆)]
ペットトラブルで困っています。
その① 当事者は管理組合です。  管理組合の理事をやっています。入居者から「ペット(犬)の鳴き声やにおいを何とかしてほしい」との苦情が寄せられ困っています。
 ペット問題は、騒音、駐車場と並ぶマンション3大トラブルの一つです。前提条件や経緯によっては即効性のある解決策がなく、時間の掛かる難問です。ただ、基本はペット飼育者と苦情申し出者の当事者の問題にしないことです。管理組合(理事会)の問題であるとの認識を役員全員がしっかりと持つことです。
 当マンションはペット禁止のはずですが、すでに多くの入居者が犬や猫を飼っています。
 よくあるパターンですね。ただ、「ペット禁止」が規約や使用細則でどのように規定されているのかの確認が必要です。ペット問題を考える上で必要な事項は多くありますが、主のものは ①規約・細則の規定 ②飼育実態(動物の種類) ③入居者の意識 ④被害状況(動物アレルギーの有無)⑤飼育の目的・きっかけ ⑥建物の状況(エレベーターの台数・階段の本数) ⑦これまでの経緯(理事会の対応など) ⑧基本方針・暫定措置の検討―などが挙げられます。 以降、具体的に考えていきましょう。
その② 規約の表現は明確に。  当マンションの規約では「他人に迷惑を掛ける恐れのある動物は飼育できない」となっています。
 規約そのものに問題があります。この文章では「どの範囲のペット飼育が可能」なのか、はっきりしません。少なくとも「ペット飼育全面禁止」と読むことはできません。大半の飼育者は動物の種類を問わず「私のペットは他人に迷惑など掛けません」と考えるからです。もし、ペット禁止を目的とするなら、表現を明確にする必要があります。抽象的な表現は主観によって判断が分かれ、トラブルの原因になります。
 具体的にはどうような表現が適切ですか。
 まず「ペット可」か「不可」の基本を決めます。「不可」を前提とする具体例としては、国交省のマンション標準管理規約の「区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない(以下省略)」などが参考になります。 また、ペット問題の基本を細則だけに定めている組合もありますが、規約に記述することが重要です。売買時(賃貸含む)などに宅建業者はペット禁止など、「専有部分及び共用部分の使用制限」を説明する義務を負っているからです。細則だけでは説明漏れの恐れがあります。
その③ 実態把握は入念に!  ペット禁止のはずですが、2割ぐらいが犬、猫を飼っています。
 問題に対応するためには正確な実態把握が不可欠です。「ペット禁止」を2割の人が軽視しているのには、それなりの理由があるはずです。ひとまず入居者へのアンケートが必要でしょう。アンケートの項目は①ペット飼育の有無②ペットの種類と数③いつから飼育④飼育の目的⑤「ペット禁止」の決まり(規約等)の認識状況⑥ペット被害の有無(動物アレルギー含む)⑦非飼育者の飼育者への意見(規約を守れ等)⑧理事会の基本的方針への意見――などになるでしょう。
 アンケートに回答しない飼育者もいますが。
 アンケートだけで解決する問題ではありません。理事長や担当理事が直接、飼育者と話し合うことが重要です。特に「飼育の目的」や「規約の認識」に関しては入念に掌握することです。また、これまでの管理組合(理事会)がどのように対応してきたかを現職役員が正確に理解していることも大切です。ケースによっては「これまで黙認してきたのに、急に規約を盾に禁止を言われても納得できない」と主張することもあります。動物アレルギーのある被害者がいる場合も役員の聞き取り調査は欠かすことができません。
その④ 主体的に基本方針作成を!  アンケートを取りましたが、飼育者と非飼育者との意見が分かれ収拾できません。
 ペット問題だけでなくアンケート結果を基に方針を考えるのは間違いです。アンケートはあくまで基本方針を補強するためのものです。特にペット問題などは「意見が分かれる」のは予想されることであり、集計後に「さあ、どう対処しようか」では主体性に欠けます。アンケートは飼育の実態把握と理事会の基本的な方針に対する入居者の意見集約を目的とすべきです。
 しかし、入居者の意見を方針に反映するのは民主的だと思いますが?
 「意見を反映する」と「主体的に方針を考える」とは決して相反しません。規約の内容やこれまでの理事会の対応などを踏まえ基本的な方針を作成することが重要です。ペット問題(現状が原則禁止の場合)では、大きく分けて①飼育禁止を徹底する②条件付きで一部の飼育継続を認める(飼育者全員を含む)原則を飼育許可に変更する――などが考えられます。もちろん、アンケート結果によっては、基本方針を修正・変更する柔軟な姿勢は必要です。
その⑤ 例外措置は慎重に!  理事会は「飼育禁止継続」を基本方針にアンケートを取りましたが、飼育者が「いまさらペットを手放すことはできない」と主張し、行き詰まっています。
 一見、同じような状況に見えても、ケースバイケースで対応は変化します。それまで理事会が黙認(事実上の許可含む)してきた場合は、厳しい対応は難しくなります。逆に何度も「飼育禁止」を明確にしている中での悪質なケースは、法的措置も含めて厳しく対応することが可能になります。飼育に至った経緯と、その後の理事会の対応がポイントになります。また、飼育による「被害者の有無」も重要です。
 理事会は「今飼っている一代限り認める」との方針を固めました。
 飼育者に「里親探し」など求め、「禁止」の原則を維持することが重要ですが、次善の策として比較的採用される方法です。ただ、安易に認めると新たなトラブルの原因にもなり、注意が必要です。これまで飼育したいが我慢していた人から「先に違反した人だけ優遇するのは不公平」との不満が出る可能性があります。また、「一代」の管理を写真登録などで厳格にしないと、意味がありません。   飼育方法等に様々な制約を設け、違反者への厳しい罰則を設ける必要もあります。
その⑥ 動物の種類によっては柔軟に!  犬、猫以外の動物を飼っている人がいます。何を基準に規制すればいいのでしょうか。
 もともとマンションでのペット禁止は、ペット飼育の全面禁止が目的ではありません。多くの場合は水槽で飼う熱帯魚などは対象外にしています。禁止の制度設立趣旨は、「共同住宅で他人に迷惑を掛けることを防ぐ」ものです。迷惑の内容は①鳴き声などの音②におい③排泄物や寄生物④毛や羽の飛来⑤危害⑥恐怖・嫌悪――などが挙げられます。これらの発生が極めて少ない動物まで飼育禁止する必要性はほとんどありません。
 動物の種類は無限に近いうえ、ペット対象だけでもかなりの数になります。
 あるマンションでは「ペット飼育原則禁止」を維持した上で、「小動物飼育細則」を設け、「ミニウサギ」「ハムスター」など具体的に許可する動物を明示しています。新たに希望する種類がある場合は、理事会に申請し、総会で細則を変更(追加)する方法です。また、飼育者の飼育経緯などによっては「準介護犬」として許可しているケースもあります。この場合は、定期的に「医者の診断書」の提出を義務づけています。
その⑦ 飼育可こそ管理が必要!  当マンションは「ペット飼育可」ですが、マナーの悪い飼い主が増え、苦情が出ています。
 少子高齢化などを映し「ペット飼育可」のマンションが増えています。また、途中で「飼育可」に変更になったケースもあります。このため、飼育者の中には大手を振って「自由に飼育」し、他の入居者に迷惑を掛けることも発生しています。このため、「ペットクラブ」などを組織して飼育法などに制約を加え、違反者には、まず「ペットクラブ」が対応することもあります。
 特ににおいに関する苦情が多くあります。また、糞の始末もいい加減な人がいます。
 管理組合(理事会)が主体となって、飼育上のルールを明確にしておくことが重要です。ペットクラブがあっても同様です。エレベーターが複数台ある場合は、「ペット同乗可」のものを限定することも大切です。散歩などで共用部分に連れ出す場合は「バスケットに入れる」なども一法でしょう。ルール違反の飼育者対応としては、事前に「飼育の実態によっては飼育禁止の処分を受け入れる」などの誓約書に署名させておくことが不可欠です。[20101103 会報第17-20号に掲載]
隣のギターの音が迷惑!
 隣の住人の息子が、最近ギターを始めたようです。日中も窓を開けて練習しているが、深夜でもお構いなしのため、ゆっくり休むこともできません。直接苦情を伝えると、しばらくは深夜の練習はしなくなりましたが、1週間もすると元に戻ってしまいました。どうすれば良いでしょうか?
 管理組合に相談してみましょう。管理規約に楽器の使用について規則が定められている場合は、貼り紙などで注意を呼びかけたり、間に入って話し合いの場を作ってくれたりします。管理規約に規定がない場合は、規約を改正して規則を定めてもらうよう要請されることです。[20110703 会報第21号に掲載]
管理会社が倒産したが管理費は大丈夫か?
 管理を委託していた管理会社が倒産しました。これまで組合員から集めた管理費や修繕積立金はどうなるのでしょうか?
 管理組合名義の預金口座を最寄りの銀行等に開設して、管理組合が実質的に保管管理しておれば心配ありません。これを管理会社にまかせておれば問題です。預金通帳を管理会社に預けて、管理経費の支払業務を委託している場合でも、トラブル防止の為、銀行届出印鑑の保管管理は必ず管理組合が行いましょう。[20110904 会報第22号に掲載]