管理運営の基礎知識と事例

 

会員の実践紹介

■おことわり 内容は記事末尾に記載の時点のものです

トーカンジェネラス香里丘ステラシティ

[枚方市茄子作北町 総戸数:198戸 棟数:1棟 建築・分譲開始:2002年]

管理組合について

当マンションは、建物内部にも、木立が多く配されています。その中に、ツバキ科落葉高木の夏椿が、初夏の頃に緑の木々の中から、清楚な白い花を咲かせくれます。管理組合の中に植栽チームもあり、今年は春先に可愛いチューリップも見る事もできました。

 

最近、入居者の近隣へのつながりが、自主的な運営にと広がって、2008年8月に修繕積立金委員会が発足しました。現在の修繕積立金の見直しと管理委託費等の見直しが提案されています。こういう環がもっと広がり、管理組合の運営等も、居住者が進んで参加できるマンションになれたらと思っています。


[20090509 会報第8号に掲載]

大規模修繕

第1回大規模修繕工事を終えて

2014年、大規模修繕委員長として、当マンション(2002年3月竣工、総戸数198戸)の第1回目の大規模修繕工事を終えました。それまで枚管連の大規模修繕工事研修会等にも出席し、それなりに勉強していたつもりですが、大規模修繕工事の過程で、誰を、何を、信じていいのか、疑心暗鬼に陥り、悪戦苦闘し、すっかり疲れ果ててしまいました。お金が欲しいというわけではありませんが、無報酬の業務ではなかったと思います。

気付いたことは次回の工事のためにも書き残しておかないといけないと思い、周りの人達からもそのように言われていたのですが、書く気力も失っていました。この度、枚管連機関紙の原稿を書くよう要請を受け、何とか気力を振り絞って書きました。何らかの参考になれば幸いです。公式の資料類は管理組合に渡してしまったので、私の手元に残っている資料と記憶でお話しをしますので、曖昧な点があるのはお許し下さい。そしてこれは客観的事実というよりも私の主観的印象の話です。

  (大規模修繕委員会)

2012年7月、第1回大規模修繕工事を実施するため理事会の諮問機関として大規模修繕委員会を設立しました。委員5名、理事会からオブザーバーとして委員2名が参加し、理事長はその委員にならないという構成でした。委員5名中、私を含めて理事経験者が危機感を感じて3名が立候補したのは当マンション住民の意識の高さを表していると思います。また、工事の現場監督をしている専門家の方がいるというので入ってもらい、もう一人も理事経験者で熱心な人ということで入ってもらいました。その専門家の委員には多くのことで助けられましたが、後から考えれば業界内の視点にとらわれていたようにも思います。

委員長は年長であることと仕事をリタイアして時間に余裕があるということで私がなりました。他の委員さんは仕事をもっておられたので、多くの業務は私一人でやることになりました。委員には少なくとも2人はリタイア組か自由業かで昼間に時間的余裕のある人が必要です。また、オブザーバーであれ、正規委員であれ、理事長が委員会メンバーであることは、業務をスムーズに行うためにも必須と思われます。

工事が始まってからは、月1回の大規模修繕委員会や理事会では対応できず、こまごました事項は、理事長、副理事長、修繕委員長の3者で頻繁に会合を持ち、意思決定することが多くなりました。

どなたかも書いておられましたが、業者との連絡も多いので、修繕委員長に名刺は必須です。今は、外注しなくても、文房具屋さんで、名刺シートというものが売られており、それを使って10枚単位でパソコン+プリンターで作成できます。携帯電話番号とメールアドレスを記載しておけばいいでしょう。
(工事の時期)

マンション建設後12年目に第1回の大規模修繕工事を実施しましたが、後から思うと早すぎたように思います。私は委員会設立後、みなさんでじっくり勉強をしてから工事にかかろうと思っていたのですが、専門家の委員が、早急な修理が必要だと主張し、消費税値上げ前に間にあうようにということで少し急ぎました。結局、消費税の値上げ前には間にあいませんでしたが。
(コンサルタントの選定)

枚管連で勉強したとおり、管理会社にお任せということはしないで、設計監理方式で行くことにし、コンサルの選定から始めました。業界紙( 建通新聞―掲載料無料 )で条件をつけて公募し、12社から応募があったので、必要なら現地調査して下さいとの案内を出しました。これで来ない業者は、選ばないつもりでした。さすがに、皆さんこられましたが、この時の現地調査には私が同行しました。調査の状況や会話の状況から熱心さとかいい加減さがある程度分かります。

この事前の調査時の対応等から見積もり依頼業者は4社に絞り、見積書提出後、ヒヤリングを実施して決定しました。4社のうち3社は、大阪府と大阪府建築士事務所協会の定める大阪・優良工事監理建築士事務所(名簿は同協会ホームページに搭載)であったのに、そして一番安い価格でもなかったのに、プレゼンテーションの印象のよかった唯一優良事務所の認定を受けていない業者を接戦の上選定しました。このコンサル選びは結果的には失敗であったと思います。優良事務所にしても施工業者と癒着がないという保証はありませんが、少なくとも、コンサル業務は的確だったと思います。いいコンサルを選定するのは非常に難しいと言われていますが、経験をしても、将来、どのような方法をとれば、いいコンサルを選定できるか、全く分かりません。施工業者にも聞いてみましたが、いいコンサルは少ないというだけで、どうすれば見つけられるかは答えてくれませんでした。

このコンサルの選定や施工業者の選定の際には多くの文書を出すことになります。断りの文書も含めて。枚管連の小冊子シリーズ6「マンションの大規模修繕工事」などを参考に、多くの文書を作成しましたが、ケース毎の文例集があれば便利だと思いました。

そのコンサルの工事計画の提案内容はひどいものでした。不要と思われる工事箇所が多くあり、当マンションの建物の調査診断を反映しているとは思えない、図面と過去の経験で作成したとしか思えないものでした。一番印象に残っているのは、当初は確認出来ない箇所があるにせよ、外壁のコンクリート爆裂箇所数を数多く計上していたことです。素人目に見ても爆裂箇所はありませんでした。足場を組んだ後、全箇所調査をしましたが、「なし」という結果でした。そして多くの工事内容を盛り込んでいたため、それまでの修繕積立金では賄いきれない高額でした。見直し作業を指示した結果、駐車場の防水塗装工事の先延ばし、ルーフバルコニーの防水塗装の先延ばし、廊下部分の塩ビ床シートの部分補修の提案があり、大枠は了承しました。

コンサル業者選定後、臨時総会を開催して、コンサル業者の選定や予算の承認を取りました。
(施工業者の選定)

そのコンサルが、施工業者選定の補助ということで、施工業者の選定条件を出してきたのですが、割合厳しめでした。その時、厳しい方がいいと思ったのですが、それは間違いでした。条件が厳しいほど応札業者が限定され、業界内では特定できるため、談合がし易くなるのです。6社から見積参加の応募があり、5社は改修専門業者、1社はゼネコンでした。そして、そのコンサルは、改修専門業者5社に見積もり依頼をしようと提案してきました。全社にするか修繕委員会で議論の結果、コンサルのいうとおりにしました。

後から考えれば、見積もりをとるくらい全社にしておけばよかったです。コンサルに何か意図があったのかもしれません。また、コンサルは施工業者の入札説明会を一堂に集めて実施するというのです。

この方法だと、どの社が来ているか分かるので、これも談合がしやすくなります。これは変更を求めて、各社1時間ずつ、ずらせて個別に行いました。 しかし、過去そういう入札説明会をしてきたコンサルはだめだと思いました。

談合されないようできる限りの方法はとったつもりですが、 最終的にコンサルが応札業者の情報を流せば、談合は出来るのです。これをさせないためには施工業者選定はコンサル抜きで、 手間はかかるけれど、厳重な秘密保持をしながら、管理組合が直接するしかないと思います。

入札の結果、ほとんど横並びの数字がでて、通常はコンサルの予定価格の7~8割と言われているのに9割以上でした。そして元施工の関連会社が一番安い金額と多くのサービス提供の提案がありました。確証はありませんが、元施工会社(関連会社)が大規模修繕工事を行うという業界内の暗黙の了解があるようです。元施工会社(関連会社)が大規模修繕工事を行うと、当初の欠陥・不良工事を大規模修繕工事で隠してしまうおそれがあるという話を後になって聞きました。第1回の大規模修繕工事は、元施工会社(関連会社)を除外するという条件を入れればよかったと後悔しています。同様に、次回の工事には前回の施工会社を除くという条件を入れていいかもしれません。価格が高かったことについては、消費税増税前の駆け込み需要増で資材・工賃が高騰しているためだと言われました。

消費税増税前の駆け込み需要増で資材・工賃が高騰しているというので、工事の先延ばしなどを提案しましたが、将来、価格が下がる保証はないし、ここまでやってきたのだからという理由で、先延ばしは認められませんでした。見積書提出業者5社から3社に絞ってヒアリングを実施し、一番落札価格の安い元施工関連会社での施工が決まりました。

施工業者選定後も、臨時総会を開いて、施工業者の選定や予算の承認を取りました。その際、コンサルの作成してくれた議案書は理事会で分かりにくいと注文がつき、私が、分かりやすいように作成し直しました。
(工事期間中)

資材置き場や作業員詰所はマンションの公園敷地にプレハブを建てましたが、現場事務所(事務スペース)は経費節減のため、プレハブを建てず、集会室を貸与することにしました。一部には現場事務所をマンション内部におくことを危惧する声もありましたが、何の問題もありませんでした。

この集会所を現場事務所として貸与することについては、覚書を交わすことにしたのですが、業者からは、そういうものを作ったことがないとかでなかなか、案が出てきませんでした。やっと出てきた案はとても使えないものだったので、こちらで作成してやっと覚書を交わすことが出来ました。

工事履歴を調べてみると、3年程前に、管理会社が外壁のクラック補修工事をしていた部分があったので、ここでの不都合は管理会社の責任で直させ、大規模修繕工事には含みませんでした。それにしても、大規模修繕工事が近々あるとわかっていながら、そのような工事をさせるなんて、許せない管理会社です。特に緊急性があったとも思えません。

施工業者が決まってからも、仕様の変更は可能だというので、現地調査をしながら、大規模修繕委員のほか、理事や一般住民からも意見を聞いて何度も見直し部分を洗い出しました。例えば、エントランスの天井など全然汚れていないし、内部なので劣化も進んでいないのに、塗装し直すという項目もあり、実施しないよう変更しました。私は本体以外の駐輪場の屋根やごみドラム棟・ごみ置き場や体育館の防水塗装工事も先延ばしするよう言いましたが、劣化が進むと費用も高くなるとの意見がでて却下されました。

余談ですが、当マンションには体育館があるのです(プチ自慢)。施工業者も長い間いろんなマンションを見てきたが、体育館のあるマンションは初めてだと言っていました。十分活用されていて、私も、卓球、バドミントン、太極拳等に参加しており、値打のある共用施設です。

先にも書きましたが、コンサルが外壁のコンクリート爆裂箇所や亀裂箇所数を数多く計上して、それに従って予算を確保していましたが、実際、足場を組んだ後に全数調査をした結果、非常に少ない数字が上がってきました。そこで予算に余裕が出来たので、足場がなくても実施できるからと先送りした廊下部分の塩ビ床シートの部分補修は全面補修とすることに工事途中で変更しました。当初、しっかりした見通しの数字をださないから、変更手続をしなければならないなど手間がかかりました。

現場事務所には、現場監督、補助者、事務員と3名がいましたが、住民に対する広報の段取りが悪く、何度も苦情を聞いては現場事務所へ出向くという日々でした。事務処理能力はかなり低かったです。

施工中の問題としては、物置扉の鉄部塗装は、3度塗り(錆止め、中塗り、上塗り)することになっていたのに、住民(塗装関係の仕事をしている方と聞きました)から2度塗りしかしていないとの苦情が現場事務所に直接あり、調査した結果、その通りだったのでやり直しをさせたこともあります。住民からの指摘があるまで、元受会社も工事監理をしているコンサルも気づきませんでした。

工事期間中の住民の目というのも非常に大事です。結構住民からの個別要求も多く、対応できるところは対応してもらいました。

バルコニー側の外壁塗装中は、洗濯物が干せないので、毎日各戸ごとの情報を掲示していましたが、全戸浴室乾燥機がついていたので、かなり助かりました。施工業者は過去には乾燥機を何台も用意したマンションもあったと言っていました。

真夏の作業で作業員が熱中症になって救急搬送されたことや、一部機材が盗難にあうという事態はありましたが、住民被害というものはありませんでした。大規模修繕工事中の盗難というのは結構あるらしいです。
(工事終了後)

施工業者やコンサルの竣工検査後に、管理組合の竣工検査を実施しましたが、多くの手直し事項が出てきました。専門家でなくても見た感じでおかしいのはおかしいのです。施工業者やコンサルはどんな検査をしたのかと言いたくなります。組合検査用にわざと分かり易いところを残したか?

施工業者の悪いことを多く書きましたが、全般的に工事そのものは、素人目ですが、丁寧でいい仕事をしたと思います。

工事終了後、施工業者から、感謝状をもらえないかという話がありました。私は、特に便宜を図ってもらったわけでもなく普通に仕事をしただけなのに、感謝状はおかしいと言いましたが、理事長は、施工業者にもコンサルにも言われるままに感謝状を出しました。感謝状などをだすと、次の仕事を獲得するためのPRに使われるのではないでしょうか。

大規模修繕工事終了後、その状況を踏まえて、コンサルに長期修繕計画(案)を作成させ、少し前に提出させた管理会社作成の長期修繕計画(案)とともに比較検討等をして、長期修繕計画の改定を行い、修繕積立金の見直しを行うことになりましたが、これはあらたに委員会を設置し、そちらで検討することになりました。理事長からは、新しい委員会の委員にもなるよう要請を受けましたが、すっかり疲れ果てていたので、その委員にはなりませんでした。

1年後の点検では、施工業者の責任か微妙な箇所もありましたが、指摘して、出来る限り手直しさせました。(生長 記)

[20161116,20170115,0313,0515 会報第53~56号に掲載]