マンション管理Q&A

 
ペットトラブルで困っています。
その@ 当事者は管理組合です。        
質問   管理組合の理事をやっています。入居者
から「ペット(犬)の鳴き声やにおいを何とかしてほ  
しい」との苦情が寄せられ困っています。      
回答   ペット問題は「騒音」「駐車場」と並ぶマン
ション3大トラブルの一つです。前提条件や経緯に  
よっては即効性のある解決策がなく、時間の掛か  
る難問です。ただ、基本はペット飼育者と苦情申し  
出者の当事者の問題にしないことです。管理組合  
(理事会)の問題であるとの認識を役員全員がしっ  
かりと持つことです。                  
                               
質問   当マンションは「ペット禁止」のはずです  
が、すでに多くの入居者が犬や猫を飼っています。
回答   よくあるパターンですね。ただ、「ペット禁  
止」が規約や使用細則でどのように規定されてい  
るのかの確認が必要です。ペット問題を考える上  
で必要な事項は多くありますが、主のものは @規  
約・細則の規定 A飼育実態(動物の種類) B入  
居者の意識 C被害状況(動物アレルギーの有無)
D飼育の目的・きっかけ E建物の状況(エレベー  
ターの台数・階段の本数) Fこれまでの経緯(理  
事会の対応など) G基本方針・暫定措置の検討―
などが挙げられます。次回以降、具体的に考えて  
いきましょう。                      
                               
そのA 規約の表現は明確に。        
質問   当マンションの規約では「他人に迷惑を  
掛ける恐れのある動物は飼育できない」となって  
います。                          
回答   規約そのものに問題があります。この文  
章では「どの範囲のペット飼育が可能」なのか、は  
っきりしません。少なくとも「ペット飼育全面禁止」と  
読むことはできません。大半の飼育者は動物の種  
類を問わず「私のペットは他人に迷惑など掛けませ
ん」と考えるからです。もし、ペット禁止を目的とす  
るなら、表現を明確にする必要があります。抽象的  
な表現は主観によって判断が分かれ、トラブルの  
原因になります。                    
                               
質問  具体的にはどうような表現が適切ですか。
回答   まず「ペット可」か「不可」の基本を決め  
ます。「不可」を前提に具体例としては国交省のマ  
ンション標準管理規約の「区分所有者及び占有者  
は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫  
等の動物を飼育してはならない(以下省略)」など  
が参考になります。また、ペット問題の基本を細則  
だけに定めている組合もありますが、規約に記述  
することが重要です。売買時(賃貸含む)などに宅  
建業者はペット禁止など「専有部分及び共用部分  
の使用制限」を「説明する義務」を負っているから  
です。細則だけでは説明漏れの恐れがあります。  
                               
そのB 実態把握は入念に!          
質問   「ペット禁止」のはずですが、2割ぐらいが
犬、猫を飼っています。                
回答   問題に対応するためには正確な実態把  
握が不可欠です。「ペット禁止」を2割の人が軽視し
ているのには、それなりの理由があるはずです。ひ
とまず入居者へのアンケートが必要でしょう。アンケ
ートの項目は@ペット飼育の有無Aペットの種類  
と数Bいつから飼育C飼育の目的D「ペット禁止」  
の決まり(規約等)の認識状況Eペット被害の有無
(動物アレルギー含む)F非飼育者の飼育者への  
意見(規約を守れ等)G理事会の基本的方針への  
意見――などになるでしょう。              
                               
質問   アンケートに回答しない飼育者もいます  
が。                            
回答   アンケートだけで解決する問題ではあり  
ません。理事長や担当理事が直接、飼育者と話し  
合うことが重要です。特に「飼育の目的」や「規約の
認識」に関しては入念に掌握することです。また、こ
れまでの管理組合(理事会)がどのように対応して  
きたかを現職役員が正確に理解していることも大  
切です。ケースによっては「これまで黙認してきた  
のに、急に規約を盾に禁止を言われても納得でき  
ない」と主張することもあります。動物アレルギーの
ある被害者がいる場合も役員の聞き取り調査は欠
かすことができません。                
                               
そのC 主体的に基本方針作成を!      
質問   アンケートを取りましたが、飼育者と非  
飼育者との意見が分かれ収拾できません。    
回答   ペット問題だけでなくアンケート結果を  
基に方針を考えるのは間違いです。アンケートは  
あくまで基本方針を補強するためのものです。特  
にペット問題などは「意見が分かれる」のは予想さ  
れることであり、集計後に「さあ、どう対処しようか」  
では主体性に欠けます。アンケートは飼育の実態  
把握と理事会の基本的な方針に対する入居者の  
意見集約を目的とすべきです。            
                               
質問   しかし、入居者の意見を方針に反映する  
のは民主的だと思いますが?            
回答   「意見を反映する」と「主体的に方針を考  
える」とは決して相反しません。規約の内容やこれ  
までの理事会の対応などを踏まえ基本的な方針を  
作成することが重要です。ペット問題(現状が原則  
禁止の場合)では、大きく分けて@飼育禁止を徹  
底するA条件付きで一部の飼育継続を認める(飼  
育者全員を含む)B原則を飼育許可に変更する―  
―などが考えられます。もちろん、アンケート結果  
によっては、基本方針を修正・変更する柔軟な姿  
勢は必要です。                      
                               
そのD 例外措置は慎重に!          
質問   理事会は「飼育禁止継続」を基本方針に
アンケートを取りましたが、飼育者が「いまさらペット
を手放すことはできない」と主張し、行き詰まってい
ます。                            
回答   一見、同じような状況に見えても、ケース
バイケースで対応は変化します。それまで理事会  
が黙認(事実上の許可含む)してきた場合は、厳し  
い対応は難しくなります。逆に何度も「飼育禁止」を
明確にしているなどで悪質な場合は、「法的措置」  
も含めて厳しく対応することが可能になります。飼  
育に至った経緯と、その後の理事会の対応がポイ  
ントになります。また、飼育による「被害者の有無」  
も重要です。                      
                               
質問   理事会は「今飼っている一代限り認める」
との方針を固めました。                
回答   飼育者に「里親探し」など求め、「禁止」の
原則を維持することが重要ですが、次善の策として
比較的採用される方法です。ただ、安易に認めると
新たなトラブルの原因にもなり、注意が必要です。  
これまで飼育したいが我慢していた人から「先に違
反した人だけ優遇するのは不公平」との不満が出  
る可能性があります。また、「一代」の管理を「写真  
登録」などで厳格にしないと、意味がありません。  
飼育方法等に様々な制約を設け、違反者への厳し
い罰則を設ける必要もあります。            
                               
そのE 動物の種類によっては柔軟に!  
質問   犬、猫以外の動物を飼っている人がい  
ます。何を基準に規制すればいいのでしょうか。  
回答   もともとマンションでの「ペット禁止」は、  
ペット飼育の全面禁止が目的ではありません。多  
くの場合は水槽で飼う熱帯魚などは対象外にして  
います。「禁止」の制度設立趣旨は「共同住宅で  
他人に迷惑を掛けることを防ぐ」ものです。迷惑の  
内容は@鳴き声などの音AにおいB排泄物や寄  
生物C毛や羽の飛来D危害E恐怖・嫌悪――な  
どが挙げられます。これらの発生が極めて少ない  
動物まで飼育禁止する必要性はほとんどありませ  
ん。                            
                               
質問   動物の種類は無限に近いうえ、ペット対  
象だけでもかなりの数になります。          
回答   あるマンションでは「ペット飼育原則禁  
止」を維持した上で、「小動物飼育細則」を設け、  
「ミニウサギ」「ハムスター」など具体的に許可する  
動物を明示しています。新たに希望する種類があ  
る場合は、理事会に申請し、総会で細則を変更  
(追加)する方法です。また、飼育者の飼育経緯な  
どによっては「準介護犬」として許可しているケー  
スもあります。この場合は、定期的に「医者の診断  
書」の提出を義務づけています。            
                               
そのF 飼育可こそ管理が必要!        
質問   当マンションは「ペット飼育可」ですが、  
マナーの悪い飼い主が増え、苦情が出ています。  
回答   少子高齢化などを映し「ペット飼育可」の  
マンションが増えています。また、途中で「飼育可」  
に変更になったケースもあります。このため、飼育  
者の中には大手を振って「自由に飼育」し、他の入  
居者に迷惑を掛けることも発生しています。このた  
め、「ペットクラブ」などを組織して飼育法などに制  
約を加え、違反者には、まず「ペットクラブ」が対応  
することもあります。                  
                               
質問   特に「におい」に関する苦情が多くありま  
す。また、糞の始末もいい加減な人がいます。    
回答   管理組合(理事会)が主体となって「飼  
育上のルール」を明確にしておくことが重要です。  
ペットクラブがあっても同様です。エレベーターが複  
数台ある場合は、「ペット同乗可」を限定することも  
大切です。散歩などで共用部分に連れ出す場合は
「バスケットに入れる」なども一法でしょう。ルール  
違反の飼育者対応としては、事前に「飼育の実態  
によっては飼育禁止の処分を受け入れる」などの  
誓約書に署名させておくことが不可欠です。    
2010.11.03 広報17-20号に掲載