大規模修繕の事例

 
グリーンタウン香里ヶ丘
 グリーンタウン香里ケ丘は、1983年竣工で建築
後27年のマンションです。平成17年度の理事会で
大規模修繕委員会の設立に向けた委員の募集が
進められましたが、残念ながら数名の応募しかなく、
前回の大規模修繕工事に比べて居住者の関心が
薄れていることが考えられました。
 修繕委員会が規定数を満たして設立され、機能
をするまでの間、大規模修繕工事にかかる準備を
出来る限り進めておきたいとの考えから、まず必要
とされる建物調査・診断を建設会社に依頼し、平成
18年4月に調査を行いました。調査費用は63万円
(消費税込)です。7月に建物調査報告書を全戸に
配布し、12月に建物調査報告書の居住者説明会
を行いました。難航していました大規模修繕委員会
の設立は、区分所有者から4名、理事会から3名の
応募があり、平成19年3月にようやく設立に漕ぎつ
けることができました。
 
 第1回委員会では、役割分担を決め、大規模修
繕委員会の運営規則と実施スケジュールを作成し、
5月の通常総会に諮ることを確認しました。運営規
則では修繕委員会の透明性を高めるために、修
繕委員会は、管理組合理事会の諮問機関として
の位置づけであり、修繕工事にかかる一切の業務
を審議及び実行をするため決定した議案は、理事
会の議決に委ねるとしています。実施スケジュール
では、工事の完了を平成21年3月と設定しました。
このスケジュールを計画通りに実行していくには、
修繕員委員だけの活動では限度があるとの考え
から、コンサルタントに設計・施工監理の業務を委
託することに決定しました。
 4月に理事会役員の改選があり、第5回修繕委
員会には、新理事長・新副理事長の出席を仰ぎま
した。そして、これからの修繕委員会の議事には、
理事会から継続して1名以上の出席をお願いしま
した。また、理事会の議事にも修繕委員会から1名
以上が出席して活動報告を行うこととしました。
 スケジュールでは、コンサルタントの決定を7月と
して、引き続き業務を行うこととなるので、費用を予
算化して、通常総会に諮ることにしました。予算の
算定には、建設省告示(報酬の基準)で算出した額
と第三者機関から見積を徴収した額の安い方を採
用し、970万円を限度とすることに決定しました。
 5月20日の通常総会で大規模修繕委員会が正式
に発足し、修繕委員に理事会より任命状が授与さ
れました。また、広報活動の一環である「大規模修
繕だより」を掲示する場所をエントランスホールに確
保することができました。
 
 区分所有者から承認を得た修繕委員会の最初の
仕事は、コンサルタントの選定です。コンサルタント
の選定に当たっては、透明性と公平性を常に確保
すると共に、「安かろう・悪かろう」にならないよう、
総合評価方式を導入することにしました。つまり、見
積金額だけの評価ではなく、企業理念・本業務へ
の取組み体制・PR・担当者の実績と人柄を点数化
して、総合的に評価し判断することにしました。
 6月10日の現場説明会には、8社の応募があり、
その中から鰍lTK一級建築士事務所を候補者に
選定し、条件面の交渉を経て7月31日に契約を締
結しました。設計業務の契約金額は、450万円(消
費税込)、施工監理業務の契約については、仮契
約とし修繕内容が確定した段階で本契約を締結す
ることとしました。なお、この時点で施工監理業務
の契約金額は320万円を想定しています。
 
 9月30日に、第1回居住者説明会を開催し、コン
サルタント決定までの経過報告、修繕工事全体の
スケジュールの説明、バルコニー及び住戸内の現
状を把握する為のアンケートの説明を行いました。
居住者説明会を受けて、10月にアンケートを実施
し、回収率は86%(325戸/377戸)でした。居住者
説明会への出席状況、アンケート回収状況を見る
と、大規模修繕工事に対する居住者の関心が低
いように思われます。そのため、マンション内のコ
ンセンサスを計ることを目的として、管理組合・自
治会・子供会・淀見会の代表に会議に参加しても
らい、各会が活動していく上で、共用施設をどのよ
うに改善してほしいかの要望を出してもらうことに
しました。また、活動を継続していく上で、イベント
の為の備品や資料の保管方法等について話し合
ってもらいました。
 
 平成19年12月9日に、第2回居住者説明会を開
催し、アンケート調査結果、敷地・建物現状調査結
果の発表、スケジュールの説明を行いました。
 年が明けて、工事内容と予算額の検討に入り、
基本工事・改善工事の内容と予算額が大筋で決定
されました。基本工事は、建物の躯体と仕上げの
劣化による改修工事で27,370万円、改善工事は、
共用施設の改修工事で13,250万円、改善工事の
中には、平成20年11月までに下水道本管に接続し
なければならない浄化槽の切り替え工事:8,000万
円が含まれています。浄化槽切り替え工事が高額
となっているのは、汚水会所と、それを接続する下
水道本管にかなりの高低差があり、汚水管の布設
工事に安全性、メンテナンス面を考慮して、地中推
進工法を採用せざるを得なかったからです。
 施工業者を決定するまでのスケジュールを考える
時、まず、平成20年5月開催の通常総会において、
施工業者の決定、工事金額確定の承認を得ること
を考えました。その為には、見積業者の募集から
施工業者決定までの期間を、少なくとも2ケ月は見
ておきたいところです。現実は、スタートが二週間
程度遅れてしまい施工業者を決定する為の評価 
が、見積金額だけになってしまったのが悔やまれ
ます。これについては、見積参加業者の応募資格
のハードルを高くしておけばいいとの意見があり、 
資本金10億以上、特定建設業の許可を受けてい
る総合建設会社、改修工事実績、経験のある現
場代理人の常駐配置等を応募資格としました。
 しかし、応募資格を満たしていない当マンション
の管理会社を見積参加企業として参加させたこと
は、条件を満たして見積参加してくれた企業に申し
訳ないような思いが残りました。
 今回、「建通新聞」に見積参加業者公募の記事
を掲載しました。新聞記事により、応募した企業は
3社にとどまり、これも募集期間が一週間弱と短か
ったことが影響していると思われます。
 
 4月20日に、第3回居住者説明会を開催し、工事
内容の決定、今後のスケジュールの説明を行いま
した。4月27日に工事施工応募企業7社への現場
説明会があり、見積提出日は5月11日としました。
この期間の中に、5月の連休が含まれているという
ことを考えると、見積期間が異常に短く、見積企業
に考える余地を与えなかったようで、これも反省す
べきところだと思っています。コンサルタントが作
成した設計内訳明細書を参考としての見積りなの
で、見積期間は、1ケ月程度必要かと思われます。
 平成20年5月17日に入札が行われ、応札金額の
低い上位2社を契約候補企業として選定しました。
これは、第一契約候補企業との契約交渉が不調と
なった場合を考慮したものです。第一契約候補企
業となったのは当マンションの管理会社で、応札
金額は、37,500万円(100万円/1戸)で最高応札
金額との差が1億円余りあり、第二契約候補企業
との比較では直接工事費に大きな差は無いが、間
接工事費(共通仮設費・現場経費・会社経費)が異
常に低く、マンションの管理費を工事費に回そうとし
ているのではないかとの懸念が生じました。
 そこで、翌日の契約交渉の場で、見積内容につい
ての質疑応答、工事期間中の管理費の減額要請、
現場代理人の確認と必要書類の提出要請、改修
内容が多岐に亘るため、全社的な管理体制強化で
現場代理人をバックアップすること等を要請しました。
また、提出見積金額の企業努力による更なる値引
きの検討及びVE提案の検討を依頼しました。
 しかし、順調に進むかに思われた契約交渉に思
わぬ事態が発生しました。第一候補の管理会社か
ら辞退の申し入れがあったのです。理由は、今回
の入札に参加するための凛議が本社に提出されて
おらず、本社の承認が得られなかったというもので
す。この一方的な申し入れは、簡単に受け入れる
わけにはいきません。なぜなら、管理組合に何の
落ち度もなく、仮に、第二候補企業との交渉になる
場合は、足元を見られて、金額交渉が不利になる
ことが予想されるからです。当然、管理組合は再
考を求めました。その後、管理会社より辞退の撤
回があり、6月30日に契約締結に至りました。
 工事実施に伴う説明会を7月27日と8月3日の両
日に開催し、居住者の理解と協力を求めました。ま
た、建物の屋根や外壁に使用する材料の色調に
ついて、居住者が選定に関与できる場を設けまし
た。9月1日から本格的な着工となり、A棟から工
事が開始されました。
 工事に対する苦情等は、コミュニケーションシート
で受付け、必ず返信するようにしました。週間工程
表及び明日の工事予告を掲示し、周知することで
工期の遅れもなくスムーズに工事を進めることが
できました。
 こうして、平成21年6月30日に修繕工事が完了し
ました。今回の工事を通じて、引き続き、検討が必
要な事項があり、これらについてはアンケートを実
施して方向性を決めようと思っています。   完
2010.03.07 広報13号に掲載