大規模修繕の事例

 
牧野駅前ハイツ
 築35年になる牧野駅前ハイツですが、このたび
第2回目の大規模修繕が完了しましたので、簡単
に報告させていただきます。
★前回の大規模修繕は、1992(平成4)年度に実
施し(鉄部塗装は2000(平成12)年度にも実施)、
それから約15年が経過した頃から、鉄部や通路天
井等の塗装の劣化が進んできましたので、2009
(平成21)年度総会において、大規模修繕に向け:
  ・建物劣化状態の詳細調査          
  ・修繕委員会の設置              
を決議しました。                  
★今回の大規模修繕工事での基本的な考え方は:
  @ 管理組合理事会の下に修繕委員会を置く
  A 理事会及び修繕委員会主導で進める  
  B 耐久度についての具体的な目標を置く  
  C Bに基づき、コストパフォーマンスを勘案し
    て材料・工法等の仕様検討を徹底的に行う
  D 足場の要否に基づき工事に優先度を設定
    し、資金との調整を図る等です。
                         
★前回の工事では、かなりの部分を業者にお任せ
したのですが、枚管連での情報等をもとに、今回
は管理組合の主導で取り組むことにし、仕様検討
等を十分に行い適切な提案を理事会に提言する
「修繕委員会」を置きました。 修繕委員会は:  
  ・委員数は6名。 2回/月 程度の頻度で開催
  ・課題・技術内容を修繕委員会で検討し、結果
   を理事会に提言し、理事会にて審議・決定
  ・修繕に関する専門知識を持つコンサルタント
   を委員に含める                
としました。                      
 コンサルタントは、当マンションについての十分な
基礎知識を持つ管理委託会社の一級建築士の方
にお願いし、仕様決定・業者選定までのコンサルタ
ント料は \525,000 でした。    
★スケジューリング                  
 数ヵ月の工期と、場合によっては億を超える費用
が必要な大規模修繕には、それなりの事前準備を
含めたスケジューリング(段取り)が大切です。  
 今回は計画から工事完了まで3年をかけました。
 ・1年目 ‥ 推進体制確立、劣化状況調査  
 ・2年目 ‥ 実施決定→仕様検討〜業者選定
 ・3年目 ‥ 業者決定、契約〜着工      
 工事に関する重要な決定を定期総会にて行える
ように、準備や作業のタイミングを合わせました。
 大規模修繕を修繕計画通りに実施していては、
耐久性が十分に残っている段階で工事してしまう
ことになり、もったいないもので、この対策として:
 ・日常から劣化の進み具合を把握する    
 ・寿命を使い切る直前のタイミングで工事する
のが賢いやり方といえます。            
★足場(工事には必要だが何も残らない‥(^_^;)
 大規模修繕工事を確実・円滑に進めるために、
仮設足場は必要不可欠といえるものです。 その
費用は工事費全体の5〜10%にもなりますが、工
事完了後に足場は撤去され、費用負担だけが残り
ます。 足場費用を相対的に低減させるためには:
 ・足場を組む工事の間隔を長くする      
 ・足場が必要な工事をまとめて施行する    
といった工夫が必要です。            
★建物調査結果の反映              
 修繕対象個所を明確にし、材料や工法を選定し、
修繕費用を適切なものとするために、事前の詳細
な建物調査を行い、結果を工事に反映させます:
 ・劣化のひどい所 ‥ 長持ちする材料・工法に
 ・劣化の少ない所 ‥ 実施の先送りを検討  
牧野駅前ハイツでの具体例として:        
 ・庇・通路・ベランダの防水処理        
     雨水滲入によるコンクリートや塗装の劣化を
     予防。特に最上階の天井となる大庇の上面
     (屋上)の防水は耐久性の高いものとしました。
 ・窓周りや壁継目シーリング打替えの部分施工
     通常は10年位で実施しますが、35年経過後
     も、大半が十分な健全性を保持していましたの
     で、劣化部分のみ施工しました。      
★耐久度目標/仕様検討
 前回(1992(平成4)年度に実施)の大規模修繕
では、外壁塗装塗料は主にシリコン系塗料を、部分
的にフッ素系塗料を使用しました:
  ・フッ素系塗料 ‥ エレベータ塔屋外壁
  ・シリコン系塗料 ‥ その他外壁
 フッ素系塗料は耐久性等の性能は抜群ですが値
段が高いため、当時(約20年前)は主に特殊な建
物の塗装に用いられ、マンション等の一般の建物の
外壁塗装に使用することはまれでしたが、業者の推
薦もあり採用し、結果として建物劣化調査時点で:
  ・フッ素系塗料部分 ‥ 目立った劣化見られず
  ・シリコン系塗料部分 ‥ チョーキングが目立つ
という状況で、17年が経過して、塗料の耐久性に
大きな差があることを確認できました。なお、今回の
見積りから、フッ素塗料はシリコン塗料の約1.3倍
とその差は少なくなっていることが判りました。
 マンションの様な市街地環境では、風雨や直射日
光にさらされる外壁においてもフッ素系塗料は20年
以上の寿命があると思われます。
 この結果を踏まえ、次回大規模修繕20年後を目
標として、材料・工法を選定することにしました。
★見積作業/業者選定
 見積りは、複数業者の相見積りを原則とし、工事
仕様書により工事範囲と数量を明確にして行いま
した。見積り参加には下記の資格要件を設定しま
した:
  ・資本金   ・経営状況    
  ・(本店・支店)所在地   ・特定建設業許可
  ・元請工事実績(近畿圏実績、同等規模実績)
  ・常駐現場代理人資格・実績          
 工事実績や枚管連で得た情報等をもとに、候補
業者12社を抽出し、絞込みを実施しました:  
  ・資格要件評価 ‥‥‥‥‥‥‥12社→5社
  ・見積参加、見積額・内容評価 ‥‥5社→3社
  ・ヒアリング評価 ‥‥‥‥‥‥‥‥3社→1社
それぞれの評価は、工夫をして項目ごとに数値化
を行い、客観的な評価を行うようにしました。  
 最終的に、今回の大規模修繕工事の発注先を、
建装工業(株)に決定しました。          

★資金計画とのマッチング            
 総工事代金見積額は、約\160,000,000.- で、
1戸あたりでは、約\670,000.-/戸 となりました。
修繕積立金が不足しましたので:        
  ・低優先度工事の先送り            
  ・借入による資金調達              
等の調整で資金との整合を図り、返済計画も明確
にして定期総会に諮りました。          
★安全祈願祭                    
 工事開始に先立ち、工事の無事故・無災害を祈
願して、近隣の片埜(かたの)神社にて「安全祈願
祭」を実施し、これを修繕ニュースで入居者に伝え
ました。                        
★工事監理                      
 工事の施工監理はコンサルタントによる方式とし
ました。 コンサルタントは管理委託会社の一級建
築士の方にお願いし、工事監理料は\2,340,000.-
でした。                        
★工事管理                      
 工事開始後の業者や監理者との調整は次のよう
に行いました:                    
  ・監理者による現場打合せ ‥‥‥ 1回/週
      理事長が同席              
  ・修繕委員会  ‥‥‥‥‥‥‥‥ 2回/月
      監理者・業者も出席          
  ・理事会(監理者・業者も出席) ‥‥ 1回/月
この頻度・タイミングで実施することにより:    
  ・施工上の課題の早期抽出ができた    
  ・修繕委員会審議案件の審議を円滑に進める
    為の説明資料等を事前に適切に準備できた
  ・軽微な課題については修繕委員会で対応し、
    課題に対してスピーディな対応がとれた  
★開けてビックリ玉手箱              
 工事をして初めて分かったことがいくつもありまし
た。                          
(1) ベランダ外に設置された13階まで延びる竪樋
     や、建物接続部のエクスパンションが脱落寸
     前だった                    
(2) ベランダにかすかに防水塗装が残っているの
     が、防水塗装着手後に判明し、対策が必要と
     なりました。 竣工図書にも載っておらず、誰も
     知りませんでした。  完   ( 志賀 記 )
2011.05.12〜2011.11.03 広報20,21,22,23号に掲載